動物病院の経営時の獣医師の年収について

2018年5月15日 (火)

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執筆者:株式会社船井総合研究所

動物病院ユニット 村田 悠一

獣医師の年収とは

 

 

医師という職業は高収入でお金持ちのイメージがありますが、動物を相手にする獣医師の収入はどうなのでしょうか?現在、空前のペットブームもあり、獣医師という職業は高収入であるというイメージが強いかもしれません。

 

獣医師とは言っても、同じ医師だから収入もかなり多いと思う方が多いかもしれませんが、現在の獣医師の年収水準は意外にも高くないようです。初任給であれば月収で20~23万円、年収で300~350万円くらい、全体での平均年収は600万円くらいのようです。

 

サラリーマンの平均が400万円前後であることを考えると高収入の職業といえますが、人間相手の医師であれば勤務3年目で800万円を超えることも珍しくないので、医師という職業の中でみると年収水準は高いとはいえません。

 

獣医師の年代別の年収分布は50代で最も高く、700~900万円ほどのようです。

 

 

 

 

獣医師の年齢別の年収分布が700~900万円になっている背景

 

 

 

 

 

 

獣医師になるには国家資格を取得しなければなりませんし、そのために日本国内にたったの17校しかない獣医学部に6年間通わなければなりません。そのうちの国立大学の学部では入学募集の人数が少なく、競争率が非常に高いです。私立大学となると国立に比べて授業料がかなり高くなりますので、国立大学の競争率が高くなるのも分かります。

 

通常の医師と同様に獣医師になるに多額の費用と月日を要する割には少し物足りない年収水準かもしれませんね。

 

獣医師の年収水準がそれほど高くない理由としては動物病院の飽和状態や犬の頭数減少があります。2、30年前は動物病院の数が少なく、今よりもペットの犬の数が多かったので、1000~2000万円ほどだったようです。3000万円以上稼ぐ獣医師も一部いたほどです。

 

 

また、人を相手にする普通の病院では保険が適用されますが、動物相手の動物病院では保険が適用されません。人の病院では治療費の負担は3割で済みます。これが動物の場合、飼い主さんの負担は保険が適用されず全額負担です。

 

請求する治療費が高額になれば、動物の治療を躊躇してしまう人が多いことは明らかです。そのため、動物病院側は厳しい経営状況の中、ぎりぎりまで治療費を下げつつも利益を上げなければならないのです。

 

そういった状況の中で得た利益から、院長以外のスタッフである動物看護師や経理の人件費等を差し引くとなると、院長をはじめとする獣医師の収入は大きく残らないのです。

 

 

勤務医の年収の相場

 

 

 

 

獣医師の年収について紹介しましたが、医師には開業医と勤務医の2つに分けられます。獣医師の開業医と勤務医の年収について紹介します。

 

 

自ら動物病院を開業して自分が院長になったら、年収は上がると思いがちですが、今の時代は開業医であっても簡単に稼げない時代です。動物病院が飽和状態にある現在の時代背景で、流行っていない動物病院であれば、年収500万円に届かないケースも多いようです。

 

開業すれば勤務医の時代の年収を確実に超えるということはありません。逆に開業医として成功した場合、1000~2000万円ほど稼きます。開業医の年収はピンキリです。

 

では勤務医の年収の相場はどうなっているのでしょうか?

 

 

 

正社員として新卒で就職した場合、普通の犬や猫の動物病院の小動物臨床獣医師であれば、地域によって幅はありますが、初任給で20~25万程度、高いところであれば30万円が相場です。牛や豚など畜産動物を相手とする大動物臨床獣医師であれば、20~22万円が相場です。こちらの場合は公務員に則した給与形態をとることが多いためです。

 

どちらも勤務して3年後で350万前後くらい、30代の平均で450万くらい、40代では600万円程度、最も年収が高くなるのが50代で大体750万円と普通のサラリーマンに比べてそれほど高給取りでるということではないです。ちなみに、60代以降になると年収水準は一気にさがり、400万円台になるようです。

 

 

動物病院の供給過多である今の時代の中、動物病院同士の生き残りをかけた熾烈な競争が繰り広げられており、経営を成功させるのは大変です。しかし、勤務医としての収入で満足できないということであれば、リスクを負って開業する道を選ぶべきかもしれません。

 

また、勤務医の中には、多忙の毎日を過ごし、病院内での一日の労働時間は平均15時間、午後4時頃にやっとお昼休憩で数十分、ボーナスや残業代なし、週に1、2回は当直で泊まり込みという過酷な労働条件のもとで働いていた獣医師さんもいるようです。雇われの身であれば、このような過酷な労働条件であっても我慢しながら働き続けなければならないこともあります。

 

 

 

獣医師が年収をあげるために行うべきこと

 

 

 

 

 

 

先に述べたように、獣医師の年収水準は決して低いわけではありませんが、人を相手とする普通の医師ほど高くありません。また、勤務医と開業医をとっても、平均年収は変わってきます。今の収入に満足できていなく年収をあげるために行うべきことについて紹介していきます。

 

 

まずは現在の勤務先で給与交渉をしてみる。ある程度の勤務年数が経過し、ひとりで行える仕事の幅が広がり、大きな責任を伴う仕事が任せられるようになれば、自分のスキルがどれほどの価値があるかがわかってきます。

 

これからのキャリアについて院長に相談する感じで給与交渉してみてはどうでしょうか。面談する中で自分が思っている自分のスキルの価値と院長や他人の評価にギャップがあるかもしれません。

 

 

勤務医が年収を行うために行うべきことはスキルを磨くことです。スキルを得たら、その後により条件の動物病院に転職するのがベストな方法でしょう。待遇の良い病院であれば、なかなか欠員が出ることがなく、転職のチャンスも少ないかもしれません。

 

しかし、まずはスキルアップのために行動する必要があります。専門医の認定を受ける、留学や病院外の勉強会や研修に参加する、難易度の高い手術を成功させて実績を積む、学術誌に論文を投稿するといった具体的な行動があげられます。給料を上げるには自分のスキルに足りないものがあることに気づき、今の年収に納得できるかもしれません。

 

 

 

次に思いきって転職することです。転職する際には転職先の選択が非常に重要になってきます。獣医師の仕事は多岐にわたるので、働き先も同様に多岐にわたります。うまく転職することができれば、自分のこれまでの経験やスキルを活かし、前職よりも好条件で働けます。逆に転職に失敗してしまうと、前職よりも過酷な条件で働かなければならないことは言うまでもありません。

 

最後に自ら動物病院を開業することです。今の収入から大きく収入を増やしたいのであれば、開業して成功することがベストな方法です。先ほども言いましたように、動物病院を成功させるためにはライバルが多く、簡単なことではありません。

 

 

 

開業医として自分の動物病院を成功させるか失敗させるかは自分次第です。しかし、獣医師としてある程度勤務してきて、業界のことが分かってくれば、勤務医としての限界のラインも分かってくると思います。今の自分の獣医師としてのスキルや経験があれば、あとは経営者としてのスキルを学び、開業して現状から大きく飛躍するチャンスを得るべきです。

 

開業するには開業資金が最低でも3000万円ほどは必要になります。全額自分で用意する必要はありませんが、自己資金はあれば多いほどいいでしょう。開業に向けた資金調達を始めていきましょう。全額間違ったやり方を行わなければ、成功することは可能です。

 

 

 

開業するかどうか、開業方法などひとりで考えても煮詰まってしますときは周りの人に相談したり、コンサルタントなどの専門家に相談したりしてみましょう。

 

経営者として知っておきたい経営指標

 

 

 

 

 

 

動物病院を開業し、成功させるためには経営について学ぶ必要があります。動物病院を成功させるためには経営者として、経営開業する際に必要な費用、どれほどの売上を目標とし、どんな経営状態を目指していくのか、開業後経営状態はどうなっているのかといった病院の財務状況や現状把握を正しく把握し、経営戦略や経営計画を立てなければなりません。

 

 

そこで必要になってくる分析手法の数値が経営指標です。

 

 

 

動物病院の経営を成功させるために経営指標を把握しておくことは必須条件です。

動物病院を開業するための資金調達で、銀行に融資をお願いする際に資金計画書や収支計画書を作成します。それらの書類作成時にも経営指標は大事な数字になります。

 

 

 

ここでは動物病院を開業する際に経営者として知っておきたい経営指標を紹介します。

 

まず経営の効率性を測る指標として「売上高総利益率」があります。

 

 

売上高総利益率(%)=売上総利益÷売上高×100

(売上高=客数×客単価であり、ここでの客数とは外来者数。)

(売上総利益=売上高-売上原価)

売上高総利益率が高ければ、収益性が高いということになります。

 

 

 

次に「損益分岐点売上高比率」です。

 

 

損益分岐点売上高は収支がゼロになる売上高のことです。つまり、それ以下の売上高であれば損失が生じ、それ以上であれば利益が生じる採算点での売上高のことです。損益分岐点売上高比率は以下の式で求められます。

 

 

損益分岐点売上高比率(%)=損益分岐点売上高÷売上高×100

損益分岐点売上高比率は低いほどよく、一般的には80%を下回ると経営が良好な病院であり、100%を超えると赤字病院ということになります。

 

 

 

病院の従業員の労働生産性を分析するための指標として以下の3つがあり、計算方法は以下の通りです。労働生産性とは従業員の収益に対する貢献の割合を意味します。

 

 

 

「ひとりあたりの売上高」=売上高÷従業員数

「ひとりあたりの限界利益」=限界利益÷従業員数

「ひとりあたりの人件費」=人件費÷従業員数

(限界利益=売上高-変動費)

(変動費とは売上に比例して変動する費用。医薬品費、診療材料費、検査委託費など。)

 

 

 

同業種である同病院のこれらの平均値は中小企業リサーチセンターが公表している「小企業の経営指標」やTKCの「TKC経営指標」で確認することができます。以下はTKCに情報を公開しており、黒字経営をしている動物病院の平成29年10月決算~平成29年12月決算の対前年売上高比率や損益分岐点比率などです。

 

 

対前年売上高比率     104・7%

損益分岐点比率      89・1%

従事員一人あたり売上高  969千円(月)

従事員一人あたり限界利益 745千円(月)

従事員一人あたり人件費  43万5000円(月)

 

 

実際に動物病院を開業する際にはこれらの数値も参考にして、平均値よりも値が低い場合は経営上になにかしらの問題があると考えるかもしれないと考えることができます。ここで紹介した以外にもたくさんの経営指標はありますので、詳しく知りたい方は調べてみてください。

 

 

 

 

 

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